民事執行法改正

1 改正点

  令和元年5月10日に改正法が成立し、17日に交付されました。ここでは備忘録として、改正点をあげていきます。

①債務者財産の開示制度の実効性向上、②不動産競売における暴力団員の会受けの防止、③国内の子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化、④債権執行事件の終了をめぐる規律、⑤差押禁止債権をめぐる規律、⑥国際的な子の返還の強制執行に関する規律。

  

2 財産開示(新民事執行法197条1項)

 ⑴ 申立権者の拡大

   新法は金銭債権の債務名義であれば、全て財産開示の申立が可能となりました。仮執行宣言付きの判決等、執行証書、支払督促でも可能です。

 ⑵ 罰則の強化

   不出頭・宣誓拒絶・不陳述・虚偽陳述に対し、旧法では30万円以下の過料であったのを、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金としました。

 

3 第三者からの情報取得手続

 ⑴ 不動産(新民事執行法205条)

   申立権者:執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者

        一般先取特権を有することを証する文書を提出した債権者

   要件:強制執行の一般的要件

      +先に実施した強制執行の不奏功等

      +財産開示手続の前置

   効果:登記所から、債務者が所有名義人である不動産の情報を取得

 

 ⑵ 給与債権(勤務先)(新民事執行法206条)

   申立権者:扶養義務等に係る請求権

        人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権

        について執行力のある債務名義の正本を有する債権者

   要件:強制執行の一般的要件

      +先に実施した強制執行の不奏功等

      +財産開示手続の前置

   効果:市町村、厚生年金保険の実施機関等から、債務者の給与債権に関する情報を取得

 

 ⑶ 預貯金債権等(新民事執行法207条)

   申立権者:執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者

        一般先取特権を有することを証する文書を提出した債権者

要件:強制執行の一般的要件

      +先に実施した強制執行の不奏功等

   効果:銀行等から預貯金債権に関する情報

 

      振替機関等から振替社債等に関する情報